介護認定更新で要介護2と判定され、丸1年。正式な指定難病の認定を機に、
認定有効期間2年を待たず、ケアマネージャーの導きで区分変更を届け出た。
満85歳、この年から母は要介護3になる。
ケアマネージャーは認知能力のテストも行った。
「はさみ・かえる・みかん・ふとん」といった適当な単語を幾つか聞き取り、
その場で順番を覚える。その後、簡単な計算をしたりして別のことを考える。
そして、最初に聞いた単語をまた正しい順番で言えるか、というようなもの。
認知機能については、まだ大丈夫だということだった。
右足の痛みも完全に消えておらず、長時間の立ち姿勢もまだ困難。それでも、定時に起床し、
室内や庭先で杖歩行の訓練を再開できるまでに回復している。そのことが母自身はもちろん、
家族全員の励みとなり「もう少ししっかりしてくれば、近場でいいから秋には温泉に行こう」
そんな言葉が聞けたりもする。
ケアマネージャーに神経内科からの<診療情報提供書>を渡し、手続きを依頼すると、
火曜と木曜の午後、要介護の人達ばかりが集まる枠があり、そこに空きあるとの返事。
母にとっても午後のほうが体もほぐれ出し、好都合である。
9月に入って2週目の火曜日、体験利用当日。
自宅から約1㎞、肉離れ以前の母なら杖で歩いてでも通えそうな距離のデイセンター。
「送迎をしてもらわなくても、ここまで歩いて来れるようになるといいな」そう呟き、
「よろしくお願いします」と孫のような歳のセンター長に挨拶をする母が微笑ましく、
『どうかこのまま順調に進んでいってくれますように』ただ、そう願うばかりだった。
源流を守る蝮(まむし)が居るといふ