平成25年時点、私達の<市>においては、介護サービス負担1割の所得の人は、概ね、
介護用紙おむつが助成の対象となっており、母も、その給付を受けるようになっていた。
あくまで要介護認定者が対象であるが、これは介護制度とは別に各自治体が独自に行う
施策なので、申請はケアマネージャーではなく、民生委員が担当することになっている。
担当民生委員Tさんと最初に会ったのが、その介護おむつ支給の申請を依頼した時、
民生委員の任期は3年で、平成25年は丁度その任期が終了の年ということだった。
Tさんは齢70過ぎの女性。
母の状態や介護の様子を聞きながら、自分も姑の介護の経験があるということ。
その時は支給制度どころか、紙おむつそのものがまだ普及していなかったなど、
Tさんの体験も話題に上った。
引退したくても、そうもいかないらしい。
次の引き受け手が見つからないとのこと。
「それほど、民生委員の仕事は煩雑で時間を割かれるのですよ」と。
例えば、万引きなどの軽犯罪で、急に地元警察から身元引き受けを頼まれたり、
借金の相談、金は貸せないけれど、話を聞いたりしていると半日位すぐ過ぎる。
学校の先生との交流会や必須の行事、講習会や研修などもあって…。
「御年も御年だし、無理なものは無理と断わられた方がよいのでは」と言う私に対して、
「もっと高齢でも引き受けている人もいる、誰かがやらなければならない事だから」と。
「民生委員は介護認定や生活保護など、必要な行政サービスが受けられていない人を
関連機関につなぐのが役割で、介護認定を受けていることが前提のおむつ申請など、
本来ケアマネージャーの仕事では」と私。
「そういう話題はしょっちゅう出る、高齢者見守りも我々の任務の一環として、
ケアマネージャーから介護サービスの事後対応を丸投げされ、憤慨していた、
民生委員もいました」そんな話も、その時は他人事として聞いていたのだが…。
介護認定の申請は市の職員やケアマネージャーが市役所介護保険課に届けるが、
認定を受けた後でも介護おむつの支給は民生委員が健康長寿課に申請を届ける。
そんな<役割分担>を短絡的に見てしまうと、介護サービスの事後対応までも
民生委員に丸投げするケアマネージャーが出てきてしまうのか。
今後の展開も読めず、こじれていくかもしれない交渉の立ち会いや仲介など、
無償で活動する民生委員の役割としては、それこそ、範疇外としか思えない。
だが、Tさんほどのベテランなら、何かの経験談でも聞けるかもしれないと、
私はこの一件をTさんに相談してみることにした。
もっともっと夕日が欲しい木守柿