認識変更なし

「本社へ報告を入れ『対応する』と返事を聞かされていた」というセンター長に対し、

「センター長から『説明責任を果たし問題は解決』と報告を受けていた」という本社。

全く真逆のことを言ってきたセンター長と社長が二人揃って目の前にいる…。

 

社長と話すのは、これが二度目。前回は昨年の仕事納めの日、空返事ばかりを繰り返す

センター長に説明を求め、家へ寄るよう要請した折に、ようやく電話を掛けてきたのだ。

契約条項に則った苦情対応は放置を決め込んでも、センター長が呼び出されるとなると、

割り込んでくる社長。

 

「打ち合わせ通り、本社会談は日改めということで」と私。

「せっかく時間をつくって来たのだから」食い下がる社長。

センター長の現在の認識がどうなっているかのも不明なまま、予測不能な社長からの横やりまで

強いられたのでは堪ったものではない。ここは多少の悶着があっても押し切られてはいけないと、

社長に対しては「今日は遠慮頂く」とセンター長だけを前回の会談同様、玄関脇の客間に通した。

 

センター長においては見解に変更などはないか、先の会談の合意を前提に話を進めていけるのか、

母との面会にあたっては、先ず確認をとらなければならない。先日の会談内容をまとめておいた

書面を私から提示されたセンター長は、慎重にそれに目を通すと「この内容ついては、その通り

(今も変わらず同じ認識)です」と言い切った。

 

そういうことなら、センター長は本社が嘘を言っていると認めなければならなくなる。

「前年中の会談開催についての約束は何だったのか、これで5回目ということになる」(私)

「それについては、そう言われても仕方ないと思っています」(センター長)

「今日の会談も実現のためには、行政への訴えが必要だった」(私)

「年明けに(私から)電話を掛けてもらうことになったと、副社長からは…」(センター長)

 

「連絡する」と約束した副社長とは違うことを言い出したところで、本社との通話を再生。 

 

「貴方と本社の話は何から何まで全く違う、貴方にどこか嘘があるのか?」(私)

「自分は嘘はついていない、社長・副社長の発言が理解できない」(センター長)

「ならば、それを本社に問い正すことも責任者としての務めではないのか」(私)

「ぜひとも直接社長から聞いて欲しい、どこかで待機していると思うので」(センター長)

 

門前払いの社長がどこかで焦れているのか、センター長の携帯が頻繁に振動音を立て始める。

着信は確認するだけのセンター長。前回と比べ、話ぶりなど、落ち着きがあるように思える。

『見解のすり合わせもせずに、この二人が揃って来るはずなどないのだ…』そう思いながら

私は、ほぼ4か月ぶりに車椅子の母をセンター長に引き合わせた。

 

      落つることなかれ夕日の流れ凧