事業所選びの条件

新担当ケアマネージャーの引き継ぎとなった。

旧担当は副主任という肩書があったが新担当には特にそういうものはない。

年齢は私と同じ位かもう少し上かという感じであるが、よくは分からない。

ジャージ服の二人のふくよかな後姿は見分けがつかない程よく似ているが、

似ているのは体型だけで話をした印象は少し違うものがあった。

 

これまでのケアマネージャーはこちらが何か話し出すと、その話が終わる間もなく、

「こういうことですね」と早々に内容をまとめ直し、自分なりの理解を伝えてくる。

言葉が的を得たものならば何も言うことはないのだが、どこか少しズレていたり、

ニュアンスが違っていたりすると「そうではなくて…」と話直す必要に迫られる。

それがどうにも噛み合わずに問答合戦になっていき…、ということも間々あった。

 

それに対し、新担当はそれが自分の役割として聞くべきテーマであろうとなかろうと、

こちらの話が終わるまでは顔を見てうなずきながら、とにかくじっと聴き続けている。

そして、内容が自分の裁量のことではないと思う時は

「それは困りましたねえ、どうしましょうか」と言う。

 

これは母が右大腿部治療に通った二人の整形医の話の聞き方の違いに似ている。

こちらが話をしている時と聞いている時の時間比がまるで逆になるとさえ思う。

話の聞き方だけで信頼関係ができる訳でもないが、この新担当の人柄が幸いしたか

母は比較的、抵抗感なく今回のケアマネージャーの交代を受け入れたようであった。

人間的にも相性が合い、信頼の持てる人ならば長く担当を続けて欲しいものであるが、

定期的に担当替えを行う方針の事業所に対しては、そのようなことは望むべくもない。

 

要介護認定を受け、民間の居宅介護支援事業所でケアマネージャーを決め直すとなったとき、

ズラッと並ぶ事業所の一覧を見せられ「この中から一つを選べ」と言われた。判断もつかず

「不都合があっても文句は言わないから」と、それまで担当だった地域包括支援センターの

ケアマネージャーに選んでもらったのが市内でも老舗で支所展開も堅実なこの事業所だった。

 

「要介護者が退院後にデイサービスなどの利用が上手くいかず、機能回復訓練まで中断したりすると、

 訓練・リハビリの再開を目的に、入院時の回復状況を病院に確認しにくるケアマネージャーもいる」

 病院の地域連携室のスタッフはそう話した。

 

ケアマネージャーの事業所を選ぶ場合には、

1・移動や転勤がどの程度の割合で行われるのか、その頻度。

2・利用者の立場や状況に応じ、制度規定の枠に捉われずに、

  柔軟で臨機応変な調整を行うことについての理念と方針

今の自分ならば、その位のことは確かめるであろう。

 

センターとのこれまでのやりとりに直に関わった人間を自分の手元から引き離された。

この時の私にとっては、そんな意味も残る後味の悪いケアマネージャーの交代あった。

 

    春陰のやどかりが居るポリバケツ