新センター長への依頼

連絡が来ないまま二週間待ち、状況確認の電話を入れた。

  

「午後から予定されていた前センター長の出勤がその日はなかったので、本社に

 確認をとったところ、料金は代理の弁護士に渡してもらうようにと託けられた」(新センター長)

「弁護士は苦情処理交渉のための代理であって、料金の精算にまで仲介をさせる

 必要はない、支払いは重要事項説明書の記載の形でお願いしたい」(私)

「自分は事情を知らない、本社の託けをそのまま伝言するしかない」(新センター長)

「その特殊な事情の伝言が丸二週間、なおざりにされている訳だが」(私)

「すいません、連絡するのを忘れておりました」(新センター長)

    

新センター長の早口でよく回る舌から出る言葉は、丁寧ではあるが、

相手の納得を得ながら円満に事を収めようとする心遣いを感じない。

   


   

もっとも、連絡が無視され誤魔化されるやり口をこれまで、散々見せつけられてきた私にすれば、

すっかり耐性がついてしまって「結局、同じ穴のムジナか」と今更、騒ぎ立てることも特にない。

騒ぎ立てないが、新センター長のこの礼を失する態度をただ黙って受け流す気にもなれなかった。

そもそも、これ程のいい加減な対応が出てくるのは、本社や前センター長が母に関しての正確な

経緯を伝えていないことに原因があると考えられる。

  

新センター長に面会するしかないと思った。  

施設長が交代しようがしまいが、母との契約関係が続く以上、

その契約内容に沿った対応を執る責任がセンター側にはある。

  

直接面会して前センター長のもとで何があったのか、全ての資料を提示して話し聞かせる。

『もし、これが自分の家族の身に降り懸かったことなら』と、ごく人並の想像力をもって

話を聞き、自分の頭で少し考えてみれば、なりふり構わず責任回避に走る前センター長や

社長・副社長とはまた別の行動も出てくる筈だ。

  

前任同様、理学療法士であるという新センター長、母のリハビリについて意見を求めてみた。

昨年の9月から頓挫している母のリハビリの再開について相談に乗ってもらいたいのだが」

「自分に、でしょうか…」

流石にこの展開になってくると、新センター長も少々面を喰らったようだった。

もちろん、このセンターでのリハビリの再開など私も本気で考える訳がないし、

なにより、母自身が承諾する筈がない。

  

前年のトラブルについては、交渉窓口が代理人一本化されている今、

面会するにも別の名目が必要になってくる。その苦肉の方便である。

そもそもの料金精算に話を戻してもよかったのだが、それはやはり、

前センター長との再対面実現の局面まで温存しておこうと思った。

  

     蝶々を狂わせている紫外線