体験利用から約1年、流石に足の痛みも落ち着いてはくるのだが、
そう老い逸れと、復活のリハビリ再開という訳にはいかなかった。
梅雨も明けると、エアコン24hフル稼働の室温管理態勢となる。
築40年の実家、その空調の中でも暑さが体に影響を与えるのか、
日中の気温上昇に伴い、母は息苦しさ・胸苦しさを訴え始めた。
午前中は落ち着いていても、昼も過ぎると状態に変化が出始める。
「呼吸が苦しい」と肩で息をし始め、みぞおちの辺りを摩り出す。
介助に入ろうとすると「摩るなら足を摩って欲しい」と言う。
足に降りた血液を自力では心臓まで戻せなくなっているのか、
足を下から上にゆっくりと撫でられると楽になるというのだ。
身長145cmの母、以前は体重も45㎏程は維持できていた。
それが骨折で40㎏前後に、更に肉離れで完全に30㎏台まで落ちた。
そして、前年のこの時期にパーキンソン病との診断の受けるに至った。
それでも、肉離れは癒えつつあって、再調剤のための入院から戻り、
朝食前には杖使用ながらも、庭先での歩行練習が日課に出来ていた。
体重40㎏回復と生活の自立を目標に、リハビリ施設を探していた。
その母が今ではベッドから離れられず、呼吸すらおぼつかないまで衰弱が
進んでしまい、それに伴い私もほぼ付き切りの介護を余儀なくされている。
「無念」という言葉以外何も出てこない。
通院以外は殆どベッドで寝て過ごすことになったこの一年。
40㎏どころか30㎏台前半まで落ち込んでしまった体重。
骨格の標本を撚れた布で包んだのかといった肢体の様相に、
初めて拾骨に立ち会った祖母の葬儀の記憶が蘇る程だった。
医者からは療養(レスパイト)入院も視野に入れておくようにとされた。
日が落ち夜になると、息遣いは少し落ち着き出す。やはり課題は血流の滞りか、呼吸を
整え直すには案外と入浴も効果があった。多少無理をしても何なり夕食を摂り就寝する。
こんな具合の在宅療養が続いた。レスパイトについては話を持ち掛けはしたが、
億劫がる母を納得させ実行に移すには、ケアマネージャーの協力が必要だった。
人の話をじっくりと聞くタイプのケアマネージャーだが、
民生委員とのデイセンター訪問の折に、土壇場で身を引かれた経緯について、
私にはわだかまりが残っており、前任同様このケアマネージャーに対しても
万事、心を開いて相談する気が持てなくなっていた。結局、レスパイトを
使うことはなく、この夏も母の介護の抱え込みを続けていくことになった。
そんな状況であればある程、契約解除を叩き付けられたデイセンターのことが一時も頭から
離れない。『何か有効な方法はないか』と思い詰め、あてどもなくネット検索を続けていた。
炎帝や袋の底に魚の息
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