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2016年

1月

11日

制度の隙間

福祉指導監査課の主な仕事として、介護保険施設等の実地指導というものがある。

課は全ての介護保険施設・事業所に対し、二年毎に実地指導に出向くことになっているらしい。

「利用者からの会談要請を無視し続けている」その私達からの訴えを聞き、センターへは既に、

この年の3月に実地指導を済ませたのだと。その際には利用者から同意の捺印を受け取る位に、

説明責任を果たし納得を得るように指導をし「了解した」と返事を聞いてきたというのである。

 

もちろんセンターがそんな誠意を見せたことなどは一切ないのであるが、そうしていなくても、

弁護士を介して自分達の正当性を主張するのであれば、それはそれでセンター側の対応となる。

そのまま無視が続いているのならば又話は別になるが、この後は民民の問題として当事者間で

話を進めてもらうしかない。もはや民事不介入、行政が口を挟む余地は無くなったということ。

 

課長・課長補佐に次ぐ立場だという主幹から電話で伝えられた回答はこのようなものであった。 

 

市役所に出向き用意された会議室で主幹ともう一人職員を交え、訴えの聞き取りが行われた。 

予定時間は2時間。1時間の予約で気忙しかった法律相談と比べて時間だけは余裕があった。

 


 

 私はセンターが残した連絡帳・通知書・回答書等、訴えの根拠となる“材料”を提示して

「医学的立証に必要な法制度での基準と介護施設での記録簿の位置づけには解離がある、

 介護制度も今の法律を前提に作られたのだから、その法律に対応した運用が必要な筈、

 役人なりの裁量の範囲内ででも、個々の状況に応じた臨機応変な指導をお願いしたい」

 そう訴えると、

 

「認可や指導・監督の基準は全国一律で、我々もその範囲で対応にあたっている、

 役人としての裁量を効かせられるかも状況によって異なる、制度に完全はなく、

 介護制度もまた然り“隙間”はある、そこを突かれると行政はどうしようもない、

 このケースは施設側が弁護士を代理に立てたことで、役所の出る幕はもうない」

  主幹は改めて、そう答え直した。

 

 それからの問答は以下の通り、

「私達利用者は、いい加減な業者からどうやって身の安全を守ればよいのか」(私)

「国会議員にでも働き掛けて、利用者の目線で制度を変えてもらうしかない、

 例えば、リハビリなども含め医療的な専門性が必要なサービスと、通常の

 介護・介助の範囲のサービスとで業務記録のあり方を根本的に見直すとか」(主幹) 

「それが叶うまでは、こんな馬鹿げた所業も黙認してるしかないというのか」(私)

「裁判所の判断がそういうことならば、止むを得ないでしょう」(主幹)

 

予定は2時間。ここまで話し終えてまだ30分程残っていたが、これ以上

役人の都合を聞かされるために、この会議室に留まることが無駄に思えて、

私はセンター取り締まりを要請する課長宛ての嘆願書を手渡し、市役所を後にした。

 

その立場になりまざまざと実感させられたが、病を得た要介護者が事故などで

体に更なるダメージを与えられることは、ほぼ人生に引導を渡されるに等しい。

こんな切り捨てられ方をするために、母は限られた年金の中から保険料を

納め続けてきたのかと、どうにもやり場のない思いがただ残るだけだった。

 

    五月野のすみずみ見えて疲れるよ

 


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