'14 12 10

 

2014年

12月

10日

在宅介護延長

私は長男で弟がいるが、私達は老々となった両親の危うさを理解していながらも、

ただ、なんとなくそれを静観していた。父の存在が私達を実家から遠ざけていた。

 

難聴で意思疎通が困難なこと以外にも、煩わされていたことがある。

家族の中での父の立場は絶対で、所有物が聖域のようになっていた。

家族といえども勝手に触ったり場所を変えたりすることは出来ない。

 

湯飲みや茶碗、箸などは誰でも自分専用があって不思議はないと思うが、

急須に茶葉、漬物、菓子など、家族なら皆で使って分け合う類の物まで、

なにかと自分専用を確保し、置き場所までいちいち細かく決まっている。 

そして、それを勝手に触ったり摘まんだりすると、たちまち機嫌を損ね

文句を言われてしまう。 

 

夫婦共満85歳、この年齢までこんな秩序がまかり通ってきたのは

母自身がそれを受け入れ、尊重してきたことが何よりの原因だった。

 

母とも部屋を更えて久しく共通の趣味がある訳でもない。夕食を済ませると

夫婦の会話も早々に自室に引き揚げ、床に就いてしまう素っ気なさであるが、

どれ程子供達から敬遠されようが、両親はすっかり染み着いたこの生活を

可能な限り二人で続けていこうとしてきた。

 

見学を兼ね、説明を聞きに行った介護老人保健施設は

希望者に対し、個別リハビリが用意されていたものの、

支援相談員からは「『安静が必要』と医師からの診断がある以上、まずは

治すことを優先させる、リハビリは回復の様子を見てからになる」とされ、

入所はあくまで家族の負担軽減のためと割り切る必要があった。

また短期入所は日数制限があり、自宅に帰れるまでは地域内で

施設の移動も必要になるかもしれないとも聞かされた。

 

入所制度を利用するか、衰弱防止のため慰め程度の効果しかなくても

自宅できめ細かな介添えを続けるか、そんな選択に悩むことになった。

入所を選ぶと、仕事には復帰できるが難聴の父を一人家に残すことにもなる。 

どちらにしても、痛みが引く頃には自力歩行困難は覚悟しておく必要がある。

 

私は当面、在宅で母の介助を続けていくことにした。

少々、父の神経に障るような粗相があったとしても、

もはや、母から小言を聞かされることはなかろうと思いました。

 

   しこしこと五十路はじまる赤まんま

  


2 コメント