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2016年

2月

11日

雲隠れセンター長

要介護者ばかりが集まる午後の枠があると、センター長に薦められた火曜日と木曜日。

6月に入ったその火曜日、午前のサービスが終わる頃合いを計い、デイセンターに電話を掛けた。

すると、応対するスタッフが「この4月でセンター長は交代しています」などと言うではないか。

唖然とするばかりだったが、今日は運良く、そのセンター長の午後からの出勤予定があるのだと。

 

「伝えたい要件があるので、今の責任者に替ってもらいたい」と言うと、

「承ります」と送迎から戻ったところの新任センター長が電話口に出た。 

新センター長は新年度4月より、このデイサービスのスタッフに加わり、

前センター長は本社勤務となり、外回り中心で行動しているということ。

 

「昨年の未払い料金を担当したセンター長へ直接支払いたいと、母が希望している」と言うと

「本人が出勤すれば、連絡を入れさせる」と新センター長は私の連絡先を控え、電話を切った。

店舗開設が前年の6月ということだった。なんと一年経たず、責任者を代えてきたことになる。

 


 

母に対し、私に対し、また代理人を経由し、残してきた発言の整合性を総括させる。

これまで散々裏切られてきた相手に、今更、そんな事を試してみる気になったのも、

相手が<センター長>という責任ある立場に就く者との前提があったればこそだが、

それ自体が崩れていた。

 

案の定というべきか、結局この日もまた、連絡が返えされることはないのであるが、

つい数時間前に、応対した新センター長すら報告を寄越さない。だが、逆にそれが、

センター長の予定通りの出勤が果たされたことの証と私には思われた。

 

<料金の直接払い>は私にとって、前センター長と対面するための云わば、切り札だった。

それを見せてしまった以上、今日の機会を逃さず一気に畳み掛けるしかない。と思う一方、

新センター長の人となりも読めない中慌ただしい終業の時間帯に乗り込んで、思惑通り

事が運ぶ筈がない。との思案が錯綜した結果、やはり、想定外の不安要素を払拭しきれず、

この日、私はこれ以上の行動を自重することにした。

 

新センター長の当初の対応に特に不自然さはなかった。つまり、私達の一件については、

引き継ぎも何も受けていなかったのだ。代理人が送付した<回答書>をもって、私達の

存在を排除できたと、すっかり枕を高くしていた。そして今、この料金支払いの対応が、

また、本社の裁量に任されることになったと考えるしかない。

 

残された記録を示し、新センター長にこちら側の立場を理解させるという、またひとつ

気重な手間が増えたことになる。本社から言われるがまま、連絡も放置するのであろう、

その新センター長との対話の座をどう作るか、それが当面の課題になるに違いなかった。

 

      一存で猫の出てゆく四月尽