役所が慎重に構えると、直ぐには期待通りの対応に繋がらないかもしれない。
だが、事業所の全くデタラメで矛盾だらけの対応を示す根拠があるとなれば、
役所の腰が、どれ程重かろうが事情を聞く位の責任は出るはず、そう考えていたのだが…。
「この事業所を問題のない業者として、行政指導等も行わない」
なんと、介護保険課を介しての返答は、そのような結果となり
「そう判断する理由を指導監査課から直接きかせてもらいたい」
と思わず私は、電話の向こうの介護保険課の職員に詰め寄った。
福祉指導監査課へ取り次がれ、応対に出たのは課長・課長補佐に次ぐ<主幹>との立場の役人。
その<主幹>が言うには、福祉指導監査課の主な仕事に、介護保険施設等への実地指導がある。
課は全ての介護保険施設・事業所に対し、二年毎に実地指導に出向くことになっているのだと。
「利用者からの会談要請を無視し続けている」そんな私からの訴えを聞き、センターへは既に、
この年の3月に実地指導を済ませたのだと。その際には、利用者(私達)からの同意と捺印を
受け取る位に、説明責任を果たし納得を得るよう指導し、先方からは「了解した」との返事も
聞いてきたというのである。
もちろん、センターがそんな誠意を見せたことは一切ないのであるが、そうであったとしても、
弁護士を介し、自分達の正当性を主張するのであれば、それはそれでセンター側の対応となる。
そのまま無視が続いているのなら、又、話は別だが、この後は民民の問題として当事者同士で
話を進めてもらうしかない。もはや民事不介入、行政が口を挟む余地は無くなったというのだ。
「話し合いが行われ、それで納得いかないならば裁判で決着させてもらいたい」
これまでに方々の相談窓口で事情を訴え続け、その度に判で押したように返されてきた台詞を
ここで又、聞かされることになった。
「市民として課宛に嘆願書を役所に持参するので、行政側の了見を直接、聞かせて頂きたい」
その位のことを言わないと、役所を繋ぎとめてはおけない。それ程「けんもほろろ」といった
あしらわれようだった。そんな具合で、センター宛に送付した<意見・要望書>とほぼ同様の
内容を市役所福祉指導監査課長宛にも書き直す羽目となった。
センターには「デイサービスであっても、医療人として自覚と責任に則った運営を行え」と
言ったのに対し、役所へは「契約条項も疎かに、医学的立証責任を盾に責任逃れを決め込む
事業所は、その行為を確認した時点で、権限を行使して取り締まれ」というもの。
この件で市役所に足を運ぶのは市民相談室への無料法律相談以来、二度目となる。
その電話回答の10日程後の指定日、全ての資料を揃え、指導監査課へ出向いた。
5月も末の眩しい日差しの午後だった。いつの間にか季節は初夏へと移っていた。
青田道辿れば神経内科裏